許可要件
永住権につきましては法務大臣の自由裁量で決めることとなされています。
活動状況やその他の状況を踏まえて許可・不許可が総合的に判断されます。
帰化申請との違い
帰化申請との違いは、
- 「母国の国籍のまま」日本に安心して滞在することができる。
- 在留資格更新手続きが不要となります。
- 原則、公務員にはなれません。
- 「選挙権」や「被選挙権」はありません。
主な要件
しかしながら、要件というものは存在します。
以下の3つが主な要件となります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能があること
- 永住が日本国の利益に合すると認められること
素行が善良とは?
- 前科や保護処分歴がないこと。
- 違法行為や風紀を乱す行為を繰り返しおこなっていないこと(交通違反等も含む)。
- 過去に資格外活動の制限を超えて働いたりしていないこと(オーバーワーク)。
交通違反等は軽微な違反(1点減点)などは過去5年のうち5回以上ないか?
※飲酒運転や無免許運転は明らかな違反となります。
オーバーワークをしてしまっていた場合は適正に直して5年経過が必要となります。
独立の生計を営む安定収入もしくは資産があるとは?
- 生活保護などを受けていないこと。
- 年収が過去3年間にわたって300万円以上あること。
- 本人が主婦などの場合は配偶者が条件を満たしていれば可能な場合もあります。
転職した場合などは注意が必要です。
転職して給与が上がった等はキャリアアップとして評価されますが、下がってしまった場合等は安定した生活とは言い難いと判断されるケースもあります。
最低でも、転職して1年が経過してからの申請が無難でしょう。
年収300万円という規準ですが、扶養家族が1人増えるごとに70万円を上乗せして考える必要があります。
例えば海外にいる父母を扶養に入れている等の場合は年収440万円ベースで考えなければなりません。
日本国の利益に合すると認められるとは?
- 原則として引続き10年以上日本に在留し、このうち就労資格にて5年以上日本に在留していること。
(10年滞在しているが、大学4年、大学院2年、就労4年等の場合は要件を満たしません) - 住民税・国民健康保険税・国民年金等を支払っていること。(納期限を守っているか)
- 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって滞在していること。
(在留期間が「1年」等の場合は要件を満たしません) - 生活保護を受給している場合等も要件を満たしません。
10年の滞在ですが「引続き」とありますので、途切れていたり中長期の出国がある方は注意が必要です。
(年間で100日以上の出国または1回の出国で3カ月以上の出国がある場合は要件を満たしません)
身元保証人
永住権許可申請をする場合には必ず「身元保証人」がいなければなりません。
身元保証人となれるのは「日本人」か「永住者」です。安定した年収やきちんと納税をしている者である必要があります。
※現在は上記は問われなくなり、必要書類も身分証のみとなりました。
保証人と聞くと「連帯保証人」のようなイメージをもたれる方が多いかと思いますが、
あくまで道義的な責任であり、経済的・金銭的な賠償等はありませんし、法律的な責任も負いません。
身元保証人をお願いする際はきちんと説明して理解してもらう必要があります。
身元保証会社等は不許可になりますので身近な人にお願いしましょう。
まとめ
大まかな要件は上記となりますが、実際にはもっと細かく確認すべき要件があり、注意が必要です。
必要書類も就労ビザから永住者なのか、家族ビザからなのかによっても変わります。
また、申請してから許可が下りるまでの標準処理期間は4ヵ月となっていますが、実際には半年~1年とみておいた方が良いでしょう。
ご自身で申請するのが不安でしたら当事務所にご相談ください。