【新制度】スタートアップビザの在留期間が最長2年間に!

スタートアップビザと呼ばれる外国人企業活動促進事業が新しくなり、2025年3月3日から東京都でも申請受付が始まりました。
東京都で実施していた外国人創業人材受入促進事業より期間が長くなり、準備期間として最長で2年の在留が可能になります。
目次
1.スタートアップビザとは?
スタートアップビザの基本情報
東京都では、平成28年から外国人の創業活動を支援するため「外国人創業人材受入促進事業」を実施しており、経済産業省では「外国人企業活動促進事業」をおこなってきました。
どちらも外国人の起業活動を支援するための制度でしたが、この度ふたつの制度が一本化され「外国人企業活動促進事業」の名称で、新たなスタートアップビザとしての受付を開始しました。
今まで東京都が実施していた外国人創業人材受入促進事業では、在留期間が6ヶ月までとなっており、6ヶ月経過後は経営・管理ビザに移行するというもので、いわば「経営・管理ビザ取得の準備期間」として設けられた制度でした。
というのも、経営・管理ビザには要件があり、主に以下の2つとなります。
- 国内に事業所の開設
- 常勤2名以上の雇用又は資本金500万円以上
この2つを入国前に満たさなければならず、国内にパートナーがいないと日本で新たに起業することは難しいため(特に1.)、外国人の方が1人でもスムーズに日本でも起業をおこなえるようにという目的がありました。
在留期間延長の背景
外国人創業人材受入促進事業は、特例的に6ヶ月間の在留資格「経営・管理」にて、外国人企業活動促進事業は、経営管理ビザへ移行するための準備期間として最長1年間の「特定活動」の在留資格にて在留できるというものでした。
在留できる期間は外国人企業活動促進事業の方が長かったものの、おこなっている自治体が少なく、福岡市・愛知県・岐阜県・神戸市・大阪市・三重県・北海道・茨城県・横浜市・仙台市・大分県・京都府・新潟県・兵庫県・渋谷区・浜松市・加賀市・富山県の計18団体のみとなり、起業できる場所が限られていました。東京都内ではいち早く渋谷区が取り入れておりましたが、東京都としては、外国人創業人材受入促進事業を独自でおこなっていたため自治体となることはなかったのです。
しかし、この度外国人創業人材受入促進事業が全国に拡大するにあたり、ふたつの事業が一本化され、東京都でも全域かつ長い期間にて活用できる制度となりました。
2.最長2年間の在留期間の詳細とメリット
新制度の具体的な変更点
具体的な変更点は、以下の2つとなります。
- 全国へと展開
- 在留期間が最長2年へと延長
1.全国へと展開
従来の外国人企業活動促進事業では、限られた18の自治体のみでしたが、2025年からはその制限がなくなり、全国で活用できる制度となりました。
もちろん東京都においても、従来の渋谷区のみならず東京都全域で活用可能となります。
2.在留期間が最長2年へと延長
東京都での外国人創業人材受入促進事業は最長でも6ヶ月となっており、それまでに経営・管理ビザの要件を満たさなければならず、とても短い準備期間でした。
一本化されたことにより、基本の在留期間として経営・管理ビザの要件を1年以内に満たせばよいことになりました。
また、1年経過後は6ヶ月ごとの更新で最長2年まで更新が可能というところで、従来よりも起業のハードルが下がったと言えるでしょう。
3.旧制度との比較と手続き
外国人創業人材受入促進事業と外国人企業活動促進事業の比較
外国人創業人材受入促進事業 | 外国人企業活動促進事業(新制度) | |
関係法令 | 国家戦略特別区域法第16条の6 | 外国人企業活動促進事業に関する公示 |
概要 | 国家戦略特別区域内において、地方自治体が一定の要件を確認した外国人起業家に、最長6ヶ月の入国・在留を認める制度。 | 全国において、公示に沿って地方公共団体や民間事業者から起業支援制度を受ける外国人起業家に、最長2年の入国・在留を認める制度。 |
付与される在留資格 | 経営・管理 | 特定活動 |
付与される在留期間 | 6ヶ月 | 2年以内(最初は6ヶ月又は1年。更新で最長2年) |
必要な見込み基準 | 以下を入国6カ月以内に満たす見込み ①2人以上の常勤職員又は500万円以上の資本金 ②事業所が東京都内に存在すること |
以下を入国1年以内に満たす見込み |
本人要件 | 6ヶ月以内に創業見込み | 以下の事項のうち、いずれかを満たす者 ①大学卒(日本国内の専門士、高度専門士含む) ②関連業務に3年間従事 ③関連事業経営又は管理に1年以上従事 ④6カ月以内に起業見込み |
実施状況の確認・報告等 | 少なくとも2ヶ月に1回、面談を行い、事業状況その他創業計画の進捗等を確認。 | 少なくとも1カ月に1回、面接を行い、起業準備活動の進捗や支援実績等を確認。 |
スタートアップ活用の流れ
現在、他の在留資格をお持ちの方で制度を利用しての在留資格「特定活動」への変更する場合の流れ
- 1.起業準備活動
- 起業準備活動計画を作成します。
- 2.東京都に活動計画確認の申請
- ビジネスコンシェルジュ東京都にて提出をおこないます。
※約1~2ヶ月ほど、事業計画の審査期間があります。
- 3.在留資格「特定活動」への在留資格変更申請をおこなう
- 審査により無事に起業準備活動計画確認証明書の交付が決定し発行されたら、3ヶ月以内に入管にて在留資格の変更申請をおこないます。
- 4.起業準備活動の開始
- 在留資格の変更も無事に終えたら、起業準備活動をおこないます。
活動期間中は1ヶ月に1回ほど面接があり、計画の進捗について確認がおこなわれます。
- 5.経営・管理ビザへの変更許可申請
- 事業所の確保や法人の設立登記など、起業の準備ができたら、入管にて経営・管理ビザへの変更許可申請をおこないます。申請が許可されましたらスタートアップビザの卒業となり、経営・管理ビザの在留資格にて、事業をおこなっていくことになります。
4.まとめと留意すべきポイント
いかがだったでしょうか。比較で見ていただいたとおり、新たな制度になったことで、エリアや活用できる人も広がりました。
また、期間も最長2年になったことでチャレンジしやすくなったといえます。
しかし、冒頭での説明の通り「経営・管理ビザ取得のための起業準備活動として在留」として活用できる制度です。
留意すべきこととして、スタートアップビザで在留することが本来の目的ではありません。
準備が終わって経営・管理ビザの取得、もっといえば日本で起業して事業を成功させることが目的となります。
申請するためにはきちんとした計画や実現性が必要ですし、準備期間にも面接があります。
また、経営・管理ビザに移行した後も、更新が必要な在留資格ですので、事業をおこなっている実体がない場合や、赤字続きであったり債務超過の場合は更新ができなくなり、日本に在留することはできなくなってしまいます。
ハードルが下がったからといって、計画や準備が甘いと行き詰ってしまいますので、最初の段階から計画的に進めて上手に活用しましょう。