スタートアップビザ申請に必要な書類一覧と準備のコツ

留学生の皆さん、卒業後の起業という夢を「ビザ」で諦めていませんか?
日本での学びを活かし、新たなビジネスを立ち上げようとするチャレンジは本当に素晴らしいと思います。
しかし、外国人の方が日本で起業する場合、事業計画や資金調達に加えて「ビザ(在留資格)」という大きなハードルがあります。特に、卒業直後に会社を設立し、すぐに「経営・管理ビザ」を取得するのは、資本金の準備や事務所の契約など、時間的にも費用的にも難しいと感じる方も多いでしょう。
そんな時、大きな助けとなるのが「スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業に基づく特定活動ビザ)」です。スタートアップビザは起業準備を行うための特別なビザ制度です。
この記事では、日本での起業を目指す留学生の皆さんに向けて次のことを解説していきます。
この記事で解説すること
- スタートアップビザとは何か?
- 他のビザとの違い
- 申請に必要な書類
- ビザ取得後の注意点や、在学中からできる準備
卒業後の進路として「起業」を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.スタートアップビザとは?概要と目的
スタートアップビザの基本情報
スタートアップビザは外国人起業活動促進事業といい、国際競争力の強化および国際的な経済活動の拠点を形成することを目的として、外国人創業活動促進事業の名で内閣府の所管にておこなわれてきましたが、2025年からは経済産業省の所管となり、スタートアップビザという通称はそのまま、外国人企業活動促進事業の名称で新たな制度として実施が始まりました。
基本的な目的は変わらず「経営・管理ビザ」を取得して起業を目指す外国人で、東京都や経済産業大臣認定を受けた起業家に対して経営・管理ビザを取得するまでの起業準備期間として最長で2年間の「特定活動ビザ」を付与し、スムーズな起業を後押しする制度となります。
他のビザとの違い
スタートアップビザとその他のビザとの違いは、経営・管理ビザ取得を目指すことが前提の準備期間という位置づけとなるため、付与される特定活動のビザは最長で2年までとなっています。最初の付与は6ヶ月または1年となり、起業準備ができ次第、経営・管理ビザへの在留資格変更へと進む流れとなります。
また、起業にあたっての計画や実現性についても問われますので、スタートアップビザの申請の際には事業計画書等を作成して認定をもらう必要があります。
2.スタートアップビザの申請に必要な書類一覧
必要書類の一覧
- 起業準備計画更新確認申請書(兼同意書)(様式第1号の2)
- 起業準備活動計画書(様式第1号の3)
- 履歴書(様式第1号の4)
- 申請人の旅券(パスポート)の写し
- 在留期間の更新後6ヶ月間の申請人の住居を明らかにする書類
(賃貸契約書の写し、在留カード両面の写し等) - 在留期間の更新後6ヶ月間の申請人の滞在費を明らかにする書類
(残高証明等) - その他、適宜必要書類
(日本語能力認定書等)
書類作成のポイント
申請書類のうちで、特に重要な起業準備活動計画書(様式第1号の3)には主に次の6つの項目があります。
1.申請人の概要
ここでは主に申請人についての項目および起業する動機や起業予定の事業について簡潔に書く事が求められます。
起業の動機及び将来の展望や背景となる職歴や技能について、伝わるようにしっかりと書きましょう。
2.事業の概要
ここでは1.申請人の概要で記載した事業について、より詳細を記載します。
事業の概要(商品・サービス)、提供方法、製造元や仕入先、経営資源、自社が成功することが見込まれる理由として他社と比較しての強みや東京の市場における競合他社との差別化要因を記載していきます。
3.起業準備活動の工程表
スタートアップビザを取得してから経営・管理ビザに移行するまでの6ヶ月~1年間の起業準備活動について、行動予定および必要経費を記載していきます。
経営・管理ビザの取得には事業所が必要となりますし、工事や設備が必要であればその費用も把握しておきましょう。
4.利益計画
設立して1期~3期までの利益計画を作成します。決算でいうところのP/Lに該当します。
事業計画書については、中小企業診断士など専門家も目を通しますので、実現不可能な利益計画はすぐ見抜かれてしまいます。
また、経営・管理ビザに移行してからも、赤字が続いた場合や債務超過に陥った場合にはビザの更新が認められません。
あくまでも起業して成功することがゴールですので、きちんと実現可能な利益計画を立てて臨みましょう。
5.資金計画
設立して1期~3期までの資金計画を作成します。決算でいうところのB/Sに該当します。
先述のとおり、いくらスタートアップビザの申請が通っても、経営・管理ビザに移行してから債務超過になり更新できなくなっては意味がありません。
現実的な資金計画を立てましょう。
6.資金繰り表
初めの記載時期は、5.資金計画の法人設立の月として、そこから開業後の期間についての資金繰りについて記載します。
3.Q&A(よくある質問)

在学中にスタートアップビザの申請準備はできますか?

齋藤亮太
はい。在学中から事業計画の作成や情報収集、準備は進めて、自治体への申請は卒業の3ヶ月前までに行えるようにしておきましょう。

スタートアップビザ期間中にアルバイトはできますか?

齋藤亮太
原則として、スタートアップビザ(特定活動)では起業準備活動に専念することが求められます。その期間の生活費も確保しておきましょう。

もし準備が間に合わずに経営・管理ビザが取れなかったらどうなりますか?

齋藤亮太
スタートアップビザの期間内に経営・管理ビザの要件を満たせない場合、原則としてビザの更新はできず、帰国する必要が出てきます。計画的に準備を進めることが非常に重要です。
4.まとめ
スタートアップビザ申請をスムーズに進めるために
スタートアップビザは、日本国内に住所を持たず、国外にいながらでは取得が難しかった経営・管理ビザの取得準備期間として付与されるビザの為、申請には経営・管理ビザと同様に事業計画書等の詳細が求められます。
留学で日本にいる方にでスタートアップビザへ変更する場合については、卒業予定時期の3か月前までに申請とされています。
在学中で卒業後に日本で起業を考えている方は、事前に調べて準備しておかないと留学からスタートアップビザへの変更が間に合わなくなってしまうかもしれません。
また、付与されるビザは特定活動となり、期間は最長は2年となりますが、その期間に就労はできませんので、生活費含め資金面には余裕を持っておきましょう。
専門家のサポートを活用するメリット

齋藤亮太
事業計画や資金繰りなど初めて起業する方にとっては作成が難しいかもしれませんので、専門家の相談・サポートを受けながら作成していくのが良いでしょう。
また、スタートアップビザで特定活動を申請すると、経営・管理ビザへの変更申請をするとき、その後に経営・管理ビザの更新をするとき、それぞれ入管への手続きが必要になりますし、事業計画や会社の決算に関してもきちんと整えておかなければなりません。創業前から事業について相談している専門家がいることで、その後も安全に進めていけるメリットとなりえるでしょう。
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東京都杉並区の行政書士齋藤亮太事務所の代表行政書士。
【在留資格(ビザ申請)】【自動車関連手続き】【補助金申請】など幅広くサポート。
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